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爆音ソクーロフ Vol.1

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私は世界に大変な不幸が起こった夢を見ます。その不幸のなかで、ある国全体が、ある民族全体が消えてしまうのです。もしかしたら、消えたのではなくて、この世界から去ったのかもしれません。ある能力を得て、または、何かの手法で、国民全体が別のところへ行ってしまったということかもしれません。残されたものは小さな島。
でも誰もいません。そこには家並みがあり、町並みがあり、かつて住んでいた痕跡があって、彼らが使っていた品々が廃屋の中に見られます。木造の古い家。瓦の屋根。島は大きくありません。周辺は海です。霧が立ち込めています。鳥の囀り。そして風や潮騒の音。早朝--もしかしたら日暮れかもしれません。私はその島の大地に足を踏み込みます。町には誰もいません。その見捨てられた町を私は歩きます。再び鳥の声。風の音。潮騒。けれども、誰もいない。
--アレクサンドル・ソクーロフ(『ソクーロフとの対話』<河出書房新社>より)

ソクーロフの作り出す、誰もが知っているはずなのに見たことはない映像の歪みや、色彩や光の微細な変化は、常にそこに貼りつく幽かな音たちとともにある。
はっきりと意識することはできないが気がつくとまるで淡い光のように視覚へ飛び込んでくる音の襞。
主人公たちを撫でるように音楽をつけたいとソクーロフはかつて語った。
その肌触りが光を変え、私たちの遠近感を狂わす。
そんな音を、息を潜めて目を凝らし見つめてみたい。
隠れていた音をちょっとだけ前に出す爆音上映である。

12/12(土)― 14(月)『セカンド・サークル』
12/15(火)― 18(金)『ストーン/クリミアの亡霊』 
12/19(土)― 21(月)『静かなる一頁』
12/22(火)― 25(金)『ロシアン・エレジー』 

■連日21:15 スタート (予告なし/本編より)
■料金:1,300 円均一/バウスシアター会員1,000 円
  4 回券 4,400 円(バウスシアター窓口にて販売)
  ※当日券の販売及び整理番号の受付を19:30 より行います
  ※各種曜日割引(月・水・金)はありません
■問合:吉祥寺バウスシアター 
■企画:boid www.boid-s.com 
■フィルム提供:パンドラ

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セカンド・サークル THE SECOND CIRCLE
ロシア/ 93 分/ 35mm / 1990 年
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
音楽:オリヴィエ・ヌッシオ
出演:ピョートル・アレクサンドロフ、ナデージタ・ロドノヴァ
主人公の青年は、亡くなった父を埋葬するために寒村を訪れる。対面しているうちに青年と亡骸は次第に一体化していく。その交流を示すのに、レーザー技術によるホログラムが用いられた。

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ストーン/クリミアの亡霊 STONE
ロシア/ 88 分/ 35mm / 1992 年
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
出演:ピョートル・アレクサンドロフ、レオニード・モズゴヴォイ
ある青年がチェーホフの亡霊と出会い語り合う、たったふたりの出演者のみによる物語。誰もが驚く異様に歪んだ画面は、ペテルブルグの光学研究所よる特別製のレンズを使って行われた。

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静かなる一頁 WHISPERING PAGES
ロシア・ドイツ/ 77 分/ 35mm / 1993 年
脚本:アレクサンドル・ソクーロフ
ダイアローグ:ユーリー・アラボフ、アンドレイ・チェルヌィフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
挿入曲:グスタフ・マーラー「亡き子をしのぶ歌」、オリヴィエ・ヌッシオ「音楽と絵画」
出演:アレクサンドル・チェレドニク、エリザヴェータ・コロリョーヴァ
画面の歪みや遠近感の喪失、そして幽かな音楽。ソクーロフ作品のひとつの形が見事に出揃った、三部作(『セカンド・サークル』『ストーン』)の完結編。ドストエフスキーの『罪と罰』をモチーフとする。

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ロシアン・エレジー ELEGY FROM RUSSIA
ロシア/ 68 分/ 35mm / 1993 年
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
編集:レーダ・セミョーノヴァ
録音:ウラジミール・ペルソフ
挿入曲:チャイコフスキー「子供のためのアルバム」より<フランスの古い歌>
冒頭数分間の、死にゆく人の息遣い。その空気の震えが映画全体を包む。19 世紀末から20 世紀初頭のボルガ川沿岸の人々の写真とともに語られる、誰からも省みられずただそこに生きていた人びとのドキュメンタリー。