
青山真治/クリス・カトラー『June 12 1998 -カオスの縁-』

VHS/ v-boid 2/ 3,990円(税込)
DVD/ CPB8-5106/ 3,990円(税込) →完売しました!
レーベル主宰者にしてドラマー、音楽批評家でもあるイギリスのミュージシャン、クリス・カトラーのライヴ・ドキュメンタリー。
1998年6月の来日の際の、カトラー初のソロ・ライヴの模様、リハーサル、及びインタビューを収録。
製作:boid,brandish
プロデュース:樋口泰人、佐藤公美
監督:青山真治
出演:クリス・カトラー
録音:長嶌寛幸
ライヴ収録:1998年6月12日
東京吉祥寺Star Pine's Cafe
DV撮影(青山真治)、Macintoshでのデジタル編集(樋口泰人・青山真治)
日本語字幕版 65分
発売元:boid
ビデオ・ナンバー:v-boid2
販売元:ロクス・ソルス
発売日:2000年6月25日
定価:3,990円(税込)
●クリス・カトラー プロフィール
1947年、アメリカ、ワシントン生まれ。後にイギリスに移住。
ドラマー/詩人/ポピュラー音楽研究家/インディペンデント・レーベル<ReR Recommended>主宰。
71年、ヘンリー・カウ(ロック、フリー・ミュージックなどを演奏するバンドでもある共同体)に参加。
アルバムのリリースやコンサート活動を続ける中、78年、ヨーロッパの実験的ミュージシャンの自主運営組織R.I.O.(反対派ロック)を結成し、同時に彼らの作品の世界的自主流通ネットワーク、レコメンディッド・レコーズ(現ReR Recommended)を主宰する。
いわゆる、インディーズ・レーベルの世界的な先駆けであった。
そこでは、非商業的であるがために知られることのなかった良質なアヴァンギャルド・ミュージックを積極的に紹介し、世界中の音楽家たちに刺激を与え続けてきた。 自身もドラマーとして、アート・ベアーズ、カシーバー、ペデストリアンズなどに参加、先鋭的な音楽家たちとの数々のコラボレーションを行っている。
来日公演は、98年以外に3回(82年にザ・ワーク、93年にカシーバー、96年にフレッド・フリスとのデュオ)
各所に発表した論文は、単行本『ファイル・アンダー・ポピュラー:ポピュラー音楽を巡る文化研究』(日本版96年、水声社刊)にまとめられている。
●青山真治プロフィール
1964年、北九州市生まれ。
立教大学入学後、8ミリ映画の製作を開始。
大学卒業後、フリーの助監督として、黒沢清『地獄の警備員』やダニエル・シュミット『書かれた顔』などに関わる。
95年にVシネマ『教科書にない!』で監督デビューを果たし、翌年、劇場デビュー作となる『Helpless』が蓮実重彦を始め各方面で絶賛され、一躍注目の人となる。
以後、『チンピラ』(96年)『WILD LIFE』(97年)『冷たい血』(97年)『シェイディ・グローブ』(99年)など、話題作を次々に発表する。
また、高校時代にはロック・バンドを結成するなど、音楽との関わりも深く、自らの監督作では決まって音楽も担当している。
ジム・オルークの同名曲をテーマにもつ3時間30分の大作『EUREKA(ユリイカ)』は、2000年カンヌ映画祭コンペ部門に出品、 国際批評家連盟賞などを受賞した。
「実感」そのものへの遡行
青山真治
「カオスの縁」は「イメージ」ではない。
「カオスの縁」は「実感」である。
「実感」は空間を持たない。だからそれそのものとして視覚的に認識することは不可能である。
だが「幽霊」としてならばどうだろう。
とはいえ「幽霊」をこちらで作り出せるわけでもなく、よって我々はただ「幽霊」の現れるだろう場所に
デジタルキャメラを向け、その時間の推移を追跡し、「実感」のような何かを捕獲しようとしたのだ。
にしても、相変わらず「実感」はとらえどころのない非=イメージであることに変わりはなく、
そこで我々の見ることができるのは「幽霊」なのだが、同時にそれは「実感」の落とした影であり、 しかし影は影なのだが……。
カトラーのいう<ポップ>とは、そのような「実感」と「幽霊」とのいたちごっこのシステムである。
不可逆な歴史の途上で、不意に娯楽と芸術の二元論に別れを告げて増殖を始める<ポップ>。
『FILE UNDER POPULAR』と銘打たれたこのビデオシリーズは、
その<ポップ>を追跡する果てしないドライヴ(欲動)の軌跡としてあろうとする。
それは同時に、日々われわれの手から零れ落ちていく本質なるもの、
つまり「実感」そのものへのデライヴ(遡行)にもなりうるだろう