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2004年 boid日記特別編 青山真治新作撮影日記 VOL.1 & VOL.2

Text by 樋口泰人

青山真治新作「エリ・エリ・レマ サバクタニ」撮影日記 VOL.1 & VOL.2 in 釧路

10月30日(土)

本日はビデオを撮って配信しようと無茶なことを考えたために時間切れ。
浅野君の大草原爆音ギター、それを聞きながら倒れる宮崎あおい、助け起こす筒井康隆、それらを見ているだけの幽霊の中原、などなどを撮影した。
後は、動画でご確認を。
画質もよくなく、WMPのみのダウンロード。
マックの人はウィンドウズ・メディア・プレイヤーをまず、インストールしてから見てください。
旅先なので、そんな具合でお許しを。

光を求めて

10月29日(金)

私と浅野忠信君を乗せたラインプロデューサー佐藤公美運転の車で、朝7時30分、ホテルを出発。
本日のメイン会場である、昆布刈石展望台付近の大草原へと向かう。
昨日までだったらようやく眠りに入る時間なので、すっかり調子が狂っている。
まあでも、こういう生活を数日続けると少しは元気になるかもしれない。
しかし公美さんの運転は最強である。
何回乗っても目を見張る。
ドキドキものなんだが、しかし、その最強の運転をものともせずしっかり眠っている浅野君はさらに最強である。
そういえば昨夜、浅野君からいかにして緒形拳や相米慎二から鍛えられたかという話を聞いたのだが、まあ、私とはぜんぜん鍛えられ方が違う。

大草原に着くと、すでに4箇所にスピーカーが積み上げられている。
ここで浅野君が爆音ギターを鳴らす、というシーンなのだが、しかし一体、かつてこのような映画はあっただろうか。
別場所で別シーンの撮影をしている本隊がやってくるまで、ダウザー長嶌が草原を駆け巡り、音響調整を行う。
さすがに風が強く、音がまとまらない。
それでもスピーカーに囲まれた枠内に入ると思い切り気持ちよし。
なぜか『未知との遭遇』その他のUFO映画を思い浮かべる。
しかし、UFOはやってこない。
その代わり、なぜか砂埃を立てながら、救急車がやってくるのだ。
ギターマン浅野君の爆音ギターがそれに重なるわけだから、一体何がどうなっているのかよくわからない。
だが、確実に何かが起こっているように感じられる。
その起こってしまった何かの姿、つまり、この映画やそれを見るわれわれがたどり着いてしまった引き返しの聞かない地点の風景がこの大草原、ということなのだろうか。
いまだにシナリオを読んでいない私は、ただ唖然とするしかない。

しかしこの時期の光の進行は早い。
1時過ぎてくるとすでに夕方の光。
撮影隊はシステマティックというわけでもなくまた、だらだらしているというわけでもなく、あるテンポを確実に刻みながら撮影を行う。
とあるシーンでたむらさんが突然、レールを敷いての移動撮影を提案。
突然の変更にもかかわらず、ずるずるとレールが出てきてガヤガヤやっているうちにあっさりレールが敷かれてしまったように見えたのは、バンドとしての成熟と言っていいのではないか。
とはいえ4時前でもはやこれまで、という状況になる。
寒さの中でじっとたたずむ筒井康隆さんの、まさに物体としてある姿が今でも目に焼きついている。

夜は、まずは何より歯医者へ。
さすがに釧路まで来て歯医者にいくとは思っていなかったが、歯抜けのままではなんとも情けなし。
差し歯が取れただけなので、あっさり修復はすみ、長山の二人ほかと食事に。
われわれの人生のその後について、語る。
主に長嶌の。
明日もまた、大草原である。


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大草原に置かれたオブジェ


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ギターマンと化す巨匠

 

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音響調節を行う「長山」(中央の二人)


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まじめに仕事にいそしむ巨匠


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まじめに仕事をする文豪と土ぼこりをあげてやってくる救急車


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今回は1日1回のインプロヴィゼーション宣言をしたというダンディたむら
シネスコ撮影である

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扇風機のモーターを利用した謎のパイプ楽器


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ギターやカメラの前でたなびく謎の黒い帯


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文豪の防寒対策。優れものの手袋(午後からはどんどん寒くなるのだ)