
2004年 boid日記特別編 青山真治新作撮影日記 VOL.3
Text by 樋口泰人
青山真治新作「エリ・エリ・レマ サバクタニ」撮影日記 VOL.3 in 釧路
10月30日(土) その2
本日(31日)は降り出した雨など諸事情のため撮影隊も大慌てで、私はとりあえず、ホテル待機。
昼前に仙頭Pの車で現地へということになったので、昨日の補足を。
爆音ギターのシーンはダウザーの作ったバックトラックに、浅野君がギター・インプロヴィゼーションを行う、という設定。
宮崎あおいがそれを4つのスピーカーの中心で聴き、倒れる。
そこに筒井康隆さんが登場して助け起こす。
バックトラックは6分ちょっとある。
おそらく本編でもそれがカットされず、そのまま映し出されるのではないだろうか。
つまり、観客もまた、4つのスピーカーの中央で聴く宮崎あおいとなるのである。
しかしそのとき、おそらく、音はわれわれを何かの中心に置くかもしれないが、複数のカメラの視線によって、われわれは常にその中心からずらされ続けるはずだ。
撮影は、ギターマンを正面から捕らえるカメラ、レールに乗ってスピーカーの作る境界を移動するカメラ、遠くからギターマンを捕らえるカメラ、それに加え、20台のDVが並べられ、なおかつそれらのサイズ、視線の角度もそれぞれ帰られていて、あと、巨匠自身が持つ手持ちのDVなどなどによって、何度か繰り返して行われた。
それらが編集作業によってどうつなぎあわされるのか。
いずれにしても、音の作り出す空間との相互作用によって(ジョー・ストラマーなら化学反応によってと言うだろう) 、われわれをかつてな居場所に引きずり込んでいくことは確かだろう。
しかし、天気がいいと、午後からの日差しの変化が露骨に変わる。
極端に言えば1分でまるで違う光になる。
撮影隊は、広い草原の中を、行ったりきたり。
本日たった1度の出番のために、後はすべて待ち時間となっている中原もまた、退屈しのぎに行ったりきたり。
スタッフも俳優も大変である。
夜は、青山・阿部・相川・中原と、鳥屋へ。
おととい、骨をかんで前歯を落とした問題の店。
さすがに2度目はない。
若き中原の悪さの数々を聞く。
まあ、本人は、そんなのは「悪さ」ではないと、真っ向から否定するだろうけど。

境界に引かれたレール
移動撮影

20台のDVカメラ
遠方からの撮影

カメラを構える巨匠
本日の出番

お疲れ