
2004年 boid日記特別編 青山真治新作撮影日記 VOL.4 & VOL.5
Text by 樋口泰人
青山真治新作「エリ・エリ・レマ サバクタニ」撮影日記 VOL.4 & VOL.5 in 釧路
11月1日(日)
本日も小雨に曇天。
撮影も中止。
製作部は今後のスケジュールなど切羽詰った問題が山積でおそらく青ざめているのだろうが、われわれやキャストの面々は取り立ててやることもなし。
筒井康隆さんは、ロビーのデスクで原稿を。
探偵役(おそらく)の戸田昌宏(「CURE」では学校の先生、「ドッペルゲンガー」では、役所広司の部下)氏は、温泉に行こうかと思うと言っている。
中原は持ってきたマックのノートブックが壊れそうだとブツブツ。
みんな北海道に来て10日ほどが経ち、いろんな疲れが出始めているはずだ。
中原にしても、私が来てからは、出番は1回。
後はずっと待機である。
戸田さんだって、寒さの中を救急車の前でずっと立っているのを繰り返し延々と何カットも。
他の人が目の前でいろんな演技をするのを、立ち尽くしながらじっと見ているという役回り。
その持続の緊張をどう保ちつつ、不意の休日をいかにリラックスして過ごすか、というのは、長期の撮影に付き合うための、大切な要素のひとつだと思う。
私は午前中から、中原の退屈しのぎの買い物に付き合う。
何を買ったかは秘密。
午後は、言語道断人権無視の最低のゲームをやって、中原、阿部が喜ぶ。
夜は、あらかじめ設定されていた、全員でのジンギスカン・パーティ。
本来なら、本日で釧路の撮影はほぼ終わりとなっていたはずなのだ。
でも、そうはいかない。
でも、店の予約も取り消せない。
ジンギスカン、美味。
阿部君はついに宮崎あおいちゃんとツーショット(一瞬)。
記念にたむらさんに写真を撮ってもらう。
青山によれば、たむらさんのスチールはまったく下手なのだそうだ。
本人も、「僕はスチールはぜんぜんだめなんですよ」と言いつつ、カシャカシャと立て続けに何枚か。
我が家の家宝にするので、ここには掲載しない。
その後2次会では、またもや中原暴走。
阿部君が次々に突っ込むものだから、話は加速するばかり。
あまりの暴言にみんなあきれつつ、笑うばかり。
今度こそ証拠を残そうと、ビデオ撮影をする。
さらにその後、宮崎あおいちゃんがビデオ撮影。。
阿部君のカメラだったので、阿部家の家宝となることだろう。
2次会が終わり、中原・阿部・青山・浅野・戸田はさらにカラオケへと。
しかし日曜の深夜。
カラオケ屋も休みで、一向は単に何もない釧路の町をさまようばかりだったとのこと。

ゲームに熱中する文豪音楽家
(手にしたハサミを誰に投げつけようか、思索にふけっている)

ゲームに熱中する文豪
(画面には握られたスコップと血まみれの死体が)
10月31日(土)
雨のために昼くらいまで待機。
その間、本日到着する岡田茉莉子さんが乗った飛行機が、視界不良のため釧路空港に着陸できるかわからない、という知らせが入る。
天候が変わると、一気に状況が変わる。
数十人のロケ隊を率いての地方ロケは、本当に大変である。
たとえば1日延びると、その宿泊費と食事代、移動費だけでも相当な数字になることは容易に想像がつく。
まあ、それはそれ、いつまでホテルで待っていても仕方ないので、仙頭さんの車で、とにかく現地に向かうことにする。
現地までは1時間30分くらいかかるから、撮影に入るという知らせを受けたとしても、ホテルにいてはどうにもならないから、無駄だったとしても往復3時間のドライヴということにしよう、ということになったのである。
しかし、結局、その途中で、ロケ隊から撮影中止の報告が来る。
雨ばかりはどうにもならない。
ホテルに戻り、釧路の町を散策するが、日曜日ということもあってか、ほとんど死んでいる。
3年ほど前、リバプールに行ったとき、あの日も日曜日だったが、こんな感じだった。
でもまあ、それでもタワーレコードやヴァージンもあったけどね。
中原が、CDショップがまるでないと嘆いていたが、確かに。
これではどうにもならない。
というのは、まあ、部外者の勝手な言い分ではあるのだが。
夜は長嶌と食事。
長嶌は今回の大草原での撮影で北海道での役割を終える予定だったのだが、本日も明日も撮影中止になり、予定がガタガタ。
しかしこれもまた、誰を恨むわけには行かない。
雨に煙る釧路郊外



