
2003年 boid日記 7月
Text by 樋口泰人
7月23日(水)
篠崎の新作(「刑事まつり」ではない劇場用長編)『犬と歩けば』の編集作業が佳境に入っている。
今週からは白鳥あかねさんも登場し、篠崎と3人で朝から夕方まで、あーだこーだ言いながら、微調整をやっている。
24Pのハイヴィジョン・ビデオでの撮影で、それを一旦DVに変換して、そのデータを我が家のパソコンに入れて作業をしているのだが、こういった微調整の段階にはいると、フィルム編集の大変さを(やったこともないのに)思い計ることになる。
カットのつなぎが、それこそ身に染みて分かっている人でないと出来ないなあと、思う。
まあそれはそれ、『犬と歩けば』は、なかなかいい感じに仕上がってきている。
セラピードッグとダメ男と、引き籠もりの妹と病気の母を持つ女の物語自体への好き嫌いはともかく、ゆっくりと流れていった時間がある時気がつくと大きな変化を見せている、そんな微妙な時間の進行とともに語られていくという、ある種クラシックな日本映画の語りに触れた感触は、誰もが清々しい気分になるのではないか。
どうやら青山の新作『レイクサイド』の薬師丸ひろ子も相当いい感じになっているということだが、この映画のりょうさんも、素晴らしい。
かつての藤純子のようにも見える。
夜、青土社の宮田君から電話。
『恐怖の映画史』の売れ行き好調との知らせ。
とりあえず一安心。
活字と動画とジャンルは違うが、宮田君や篠崎の編集への集中ぶりには私のような淡泊なものはあきれるばかりだが、しっかりと結果を携えてくるあたり、頭を下げるしかない。
そうそう、先週の土曜日の安井君の「アメリカ映画講座」には、『犬と歩けば』編集作業のため出席できなかったのだが、30分遅れで始まって、かなりの時間オーバーで終わったという話を聞いた。
おそらく講義の後に何か予定を入れていたのだろう、何人もの受講生たちが中途退席していったとのこと。
こういう場所で書いてしまって誤解を受けそうだが、思わずニコニコしてしまうエピソードである。
まあそんなことで喜ぶのは、ラリーズや灰野さんのライヴを知る人くらいかもしれないけれど。
常に時間通りに進行すると思ったら大間違い。
そして、ライヴが素晴らしかったりつまらなかったり充実していたりダラダラしていたりするのは、当然のことなのである。
28日の私の日は、何をして驚かそうかと思わず燃えたが、だがとにかく『犬と歩けば』が待っている。