
タウンズ・ヴァン・ザントによせて
タウンズ・ヴァン・ザントはある日「Flyin' Shoes」を履いて本当に空を飛んだという。フィルムに焼き付いた森に揺れる光がこんなにも美しいということは、彼の歌が風なのだ。カメラは失われた記憶の線上にぶらさがる雲の下、遠く儚いメロディを紡いだソングライターの"あらくれたたましい"の足跡を追う。「Pancho And Lefty」をはじめ、数々の名曲と貴重なライヴ・シーンの連続にため息はつきないが、彼を偲ぶテキサス音楽シーンの重鎮たちの不器用にはにかむひとつひとつの表情も愛と憎悪に満ちていてじつにいい。音楽ファンなら必見の一本だ。
=直枝政広(カーネーション)
このろくでなしのゴクツブシのいい歌うたいのどうしようもない全身流浪の心のありかは、アメリカの良心とかいうチンプな言葉で括れるようなところにはない。音楽の本質はスタイルの奥にあるのだから。ダービー・クラッシュやジョニー・サンダースやダニエル・ジョンストンを愛する者こそ見なければならないハードコア人物伝。俺は泣いた。
=湯浅学
『タウンズ・ヴァン・ザント/ビー・ヒア・トゥ・ラヴ・ミー』は7月21日(月)、22日(火)の上映になります。