
第十二回「中原昌也12枚のアルバム」レポート
Hair Stylistics a.k.a. 中原昌也 TOP
「中原昌也12枚のアルバム」at ジュンク堂池袋本店
3月26日(木) 中原昌也×湯浅学(音楽評論家)
とうとう最終回を迎えた「中原昌也12枚のアルバム」。最終回のゲストには第3回にもご登場いただいた湯浅学さんを再びお迎えしました。
最近の回ではCDプレーヤーしか使っていなかったので、レコードの準備をすっかり忘れておりました。というわけでレコード・プレーヤーの到着を待つ間、中原氏の持ってきたCDアルバムからスタートすることになりました。
今回持ってきていたのは2枚。アーネット・ピーコックとポール・ブレイの『デュアル・ユニティ』とティミー・トーマスの『Why Can't We Live Together』でした。中原氏が『デュアル・ユニティ』のLPを買った三軒茶屋の不思議な中古盤屋のお話などをしながら、なぜか「死んだ有名人でかつて会ったことのあるレアな人」話で盛り上がりました。前回にも話していただいた田中小実昌・殿山泰司に会った話や新たに田宮二郎、玉川良一なども登場しました。
そして『デュアル・ユニティ』ではドラムのハン・ベニングの話やポール・ブレイはシンセ作品を恥じているらしいという話になりました。しかしシンセ好き(?)のおふたりは「ベスト・ジャズ・シンセイストは誰か?」ということで、湯浅氏はジョー・ザヴィヌルを挙げておりました。中原氏はウォルフガング・ダウナーの『Output』がオススメだそうです。
そして今日は最後だからということで(結局いつもひとり一枚ではなかったと思いますが)、もう一枚のティミー・トーマスも聴きました。まず湯浅氏から「黒人のポンチャック」だというご紹介。TKレーベル、ゴールドワックス・スタジオなどの関連アーティストの話をしていたのですが、なぜか「リズムボックスを最初に使ったのは誰か?」という話題でスライ&ザ・ファミリー・ストーンに突入。昨年の来日公演のスライ・ストーンがいかに衝撃的だったかという話題で盛り上がりました。中原氏は「ものすごい動員をした老人介護」だったと。湯浅氏はバックステージでの裏話なども披露してくださいました。
その後もスライの『暴動』の機材や湯浅氏がニューヨークで見たというフェラ・クティのライヴ、中原氏からはリズムボックスを全編使った映画『Black Devil Doll from Hell』などを紹介していただきましたが、肝心のティミー・トーマスは「あまり話すことがない」と話題に上らず……。音だけは充分に堪能しました。
ようやくレコード・プレーヤーも到着し、湯浅氏の一枚が登場しました。ピエール・アンリ&スプーキー・トゥースの『セレモニー』です。なぜか持ち出したときから湯浅氏は「つまらないものだよ」とか「ブルース・ロックにエレクトロニクスっていう、もう、そこでダメだ」とか否定的な言葉を連発していました……。中原氏は「僕も普通のバンドと共演してくださいといわれるので、この気持ちは分かる気がする」「結構好きです」とフォロー。しかし結局は「思いつきの域を出ない」ということで一件落着しました。ロックと前衛の融合の話でビートルズやピンク・フロイドが前衛音楽をやった作品が表に出てくるのが待たれるとか、演歌はさすがに前衛とは融合しないのかという話題をしているところで、レコードからビートにも合っていない「プルッ、プルッ、プルッ、プルッ」という音(声?)が連発されます。それが相当ツボにはまった様子のおふたりは「やっぱり、これ、いいよ」ということで落ち着きました。
今回は珍しく(ようやく)脱線することなく、音楽のお話に終始したことに、とても満足げな中原氏に「だって、俺、音楽評論家だもん」と湯浅氏。中原氏の「僕だって、音楽家です!」という表明で12回のトークを終了しました。
1年間イヴェントにお付き合いいただきました皆様、ジュンク堂池袋本店の皆様、本当にありがとうございました!