|
歌が入っていない曲を聴き、じっくり考えるんだ。
どんな雰囲気か、糸口をつかむんだ。
推理小説みたいに、次につながる何かを。
俺はごく普通の人間だという感覚が好きなんだ。
業界で受ける好待遇や称賛が脳裏をよぎったら、すぐ曲に出る。
ウンザリするような曲になる。
パフォーマンスは楽しくて怖い。
2つの感情と同時に向き合う必要がある。
その中で観客を納得させる。
こうした不安と喜びが、ツアーの命さ。
新鮮さを失わないための、自分の興味とエネルギーを出し続ける、使命みたいな感覚だ。
 

インターネットの欠点を話そう。
俺は毎晩セットリストを書くが、前日までの曲目がネットで分かる。
フィラデルフィア公演の内容とかね。
あれにはムカつくよ。楽しみが奪われちまう。
昔はどんな曲を演奏するか、誰も予測できなかった。
そのサプライズが楽しかったのに。
ネットってやつは、便利すぎて困る。
スーツケースの中は、ティーバッグだけでいい。
好きな種類を詰めるだけで紅茶だけになる。
過去の曲を持ち出して演奏するのは、いい事だと思う。
アレンジを加えて、少し変わった曲を楽しむんだ。
クラッシュ時代に日の目を見なかった曲が、俺達にも観客にもクールに聴こえるかもしれない。
俺はミックスするのが好きなんだ。
レコードはアルバムとシングルのサイズが違う。
でもCDはシングルも同じなのが許せない。2曲しか入ってないのに。
おかげでシングルへの興味が薄れちまったよ。
この20年で何千回も、様々な話を聞いてきた。
それでも誰かの人生や考え方を変えたと聞くと、忘れられない思い出になる。
 

――清掃員かドアマンか?
清掃員だ。
――なぜ?
トラックにしがみついたままで、町中を回れる。
ヒーローからゼロまで経験できてよかったと思う。魂のために。
つまり生き残るための闘いだ。
悪くない感じではあるし、五分五分には持ち込みたい。
無人の店で演奏したよ。
それをやると次は、人1人に犬1匹にも感謝する。
聴いていなくてもだ。
自分で探して買うんだ。
昔はそうやって楽しんだ。
業界が巨大化する前は自分で面白いアルバムを狩る。
ローリング・ストーンズも、ミックが持っていたアルバムにキースが興味を持ったことから始まった。
“おまえは誰だ?”で、ストーンズが誕生したんだ。
そういう出会いが面白いんだ。
アルバム探しが俺は好きだ。
『レッツ・ロック・アゲイン!』およびDVD特典映像より
字幕翻訳:落合寿和
 

|