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10/29 12/6(火)「アナログばか一代」下北沢 風知空知にて開催
12/6(火)「アナログばか一代」下北沢 風知空知にて開催

12/6(火)に下北沢の風知空知にて「アナログばか一代」を開催します。

前回は急遽ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン特集と変更となりました。是安佑さんによるレポートを下記に掲載しましたので、ぜひご一読ください!

 

次回は前々回の宣言通り「ニューオーリンズならいくらでもやり続けられる」ということで、全然アラン・トゥーサン本人の演奏まではたどり着かなかったニューオーリンズ音楽の続きです。「ずっと同じところをぐるぐる回っている気がする」というジム・ジャームッシュ『ダウン・バイ・ロー』のセリフが思い浮かびはしますが、どこまでも行きますニューオーリンズ。
「アナログばか一代〜アラン・トゥーサンとニューオーリンズ vol.2〜」

 

<日時>
12月6日(火) at 下北沢 風知空知
OPEN18:30/START19:00
CHARGE 2000円(+1D)

 

<登壇者>
湯浅学、樋口泰人、直枝政広(カーネーション)

 

<会場>
風知空知 http://fu-chi-ku-chi.jp
小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」南口徒歩3分

 

<予約>
風知空知 
電話:03-5433-2191(17時~26時)
メール:yoyaku@fu-chi-ku-chi.jp
(ご希望公演名、お名前、枚数、ご連絡先電話番号を明記の上、お申し込みください)

 

<ご注意>
当日は先着順整列入場・自由席です。

お待ちしております!

 

 

<是安佑さんによるレポート>

“カーティス・ハンソンからショーン・ペンまで”

 

と、いうわけで行ってまいりました
『アナログばか一代 ノーベル賞受賞記念 ボブ・ディラン特集』@下北沢 風知空知

本日はテラス席まで開放しての大入り予想。初めて参加の方もいるのでしょうか。

いつもの通り、入念過ぎるサウンドチェックに時間を要し、19時を少し過ぎておもむろに開始。
テーマは、内田裕也の “いま、ボブ・ディランは何を考えているのか”(こういう曲があるのですホントに。歌詞はムッシュかまやつ氏)なのですが、この曲自体はかけず。樋口さんのカナザワ映画祭で内田裕也特集をやった話からいきなり脱線気味に。思い直して、やっと一枚目、湯浅さんの「ボブのライヴのようにこの曲から」と。

“Things Have Chenged” 2000
https://m.youtube.com/watch?v=L9EKqQWPjyo

 

なんか聴いたことあるバージョンだと思ったら、これカーティス・ハンソンの『ワンダー・ボーイズ』のためにディランが新録提供してゴールデングローブ賞とアカデミー賞でそれぞれ主題歌賞獲ったいわば「賞つながり」ということ。

 

二枚目は直枝さん(カーネーション)が中二の時に初めて入手したディランのブート『ミネソタ・ホテル・テープ』から。これが当時の音楽専科の広告に出ていて、それを見た直枝さんが購入というのが俄かに信じ難い事実。この曲は『ブートレグシリーズ』の最初と『ウィトマーク・デモ』で聴いたのかな。

“ Hard Times In New York Town ”
https://m.youtube.com/watch?v=_r3yVnhRc9Q

 

続いても、ブート盤『Isle of Wight』、少し前に『アナザー・セルフ・ポートレート』で完全版が出たものから

“ She Belongs To Me “

 

そして、『セルフ・ポートレート』つながりで、エヴァリ・ブラザーズのこれ。
この盤がものすごく音が良く、個人的に不意をつかれてホロリと。

“ Take A Message To Mary “

 

ここで湯浅さんが個人的にディランとの最初の出会いを。最初の盤は中二の時の“ライク・ア・ローリングストーン“と”風に吹かれて“のカップリング。とにかく「何なんだ、これは?」というところから始まって、中二の癖に”ローリングストーン“の歌詞を自分で訳そうとしたそう。当然、当時聴いていた洋楽でそんなことをしたのはディランだけ。で、訳してみた結果、やはり分からないまま、分からないけどその時点で既にはまってしまっていた、と。

そして、ワイト島の“ローリングストーン”を聴くことに。

“ Like A Rolling Stone”Live

 

ここでの演奏が湯浅湾みたいだ、との直枝さんのコメントから、牧野さんのギターがロビー・ロバートソンみたいだ、という話に。確かに。

 

続いて、直枝さんも自分のディラン初期体験を語り始めるが、自分は少し世代が下なのでやはり『偉大なる復活』『プラネット・ウェイヴス』『ディラン』の時期、だと。そして、自分が痺れたのは実は歌詞の中身よりもまず曲の邦題。“河の流れを見つめて“とか”我が道をいく“とか、他の洋楽には考えられないセンスのいい邦題が多かった、自分で歌詞を書くようになってからも実はこの「ディランの曲の邦題」の影響はすごく強い、と。
そこで、湯浅さんが高二の時に撮った自主映画のタイトルが“我が道を行く”だった話題に。話にも出た、この8ミリ映画を上映してそれに湯浅湾が音楽をつけるという企画、確か高円寺の円盤だったと思うが実はその時観ています。観た人15人くらいだったんじゃなかろうか。(その後、バウスシアターでも上映、演奏あり)

と、いうことでアルバム『ディラン』からエルヴィスも歌ったこの曲。

“A Fool Such As I”

 

続いて“我が道を行く”の2バージョン。最初は『偉大なる復活』から。

“ Most Likely You Go Your Way (I’ll Go Mine) ”

 

変わり種のマーク・ロンソンがリミックスしたバーション。これは2007年に出たベスト盤の限定盤ディスクに入っていました。

“ Most Likely You Go Your Way (I’ll Go Mine) ” Remix

 

そして、話題はもうすぐ発売の『Live 1966』へ。これ、ボックス盤は36枚組。一足先に一部音源を聴いたという湯浅さんからロイヤルアルバート・ホールの最終日の“ローリングストーン”が「早く帰りたくて堪らない」感満載で面白いとの情報が。この36枚組、当然同じ曲を何回も演奏しているのを聴くことになるのですが、「毎回ライヴに行けてるようで楽しいじゃん」という“ばか”心理で全て解決。やはり買わなければ済まないのでしょうか。

 

ここから何故か前回の来日時に12公演通った湯浅さんが今年は3公演のみ、しかも2公演終わった直後にプリンスの訃報が入って最後はそれころではなかった、という話からしばらーくプリンスの話題に。実に10数分をプリンスに費やし「そろそろディランを」という直枝さんのツッコミからやっと先に。
直枝さんが持参した『時代は変わる』のLP、モービル盤(米のモービル・フィデリティ・ラボ社が出している高音質リマスター盤)から。
これも非常に良い音で吃驚。

“ Restless Farewell ”
https://m.youtube.com/watch?v=BnHAmiv_ZcQ
(かけたのはアルバムから)

 

この『時代は変わる』のジャケットのディランの顔を見て、樋口さんが「ディランの顔は分からない。とくにこれなんか炭鉱労働者みたいで他のジャケの顔と同一人物と思えない」という“顔認証が苦手な人”というレッテルの面目躍如な発言を。たしかに、『欲望』『ブロンド・オン・ブロンド』『ハードレイン』と並べると別人感満載。
そして、第一部の最後は『ハードレイン』のリカット盤から。

“Shelter From The Storm”

 

休憩中は同じく『ハードレイン』から

“Idiot Wind”

 

第二部は樋口さんの初期ディラン体験の話から。当時はやはり岡林信康などからの吸収だったらしいが、流石にガロの“学生街の喫茶店”「君とよくこの店に来たものさ〜」というようなことは無かった様。
その流れで岡林信康“それで自由になったのかい”、吉田拓郎“イメージの詩”など当時のディランズ・チルドレンの有名曲が、実はバックの演奏と歌が合ってない、との指摘が。それはエレックなどでバックの演奏に携わったのが当時のジャズ系のミュージシャンだったのではないかということ。その辺はちゃんと考えたことがなかったのでちょっと耳から鱗。そして、最近のディランのライヴでは女性が一人で来ているのが多く見受けられ、これは『武道館』の頃には見られなかった光景だ、という話に。

 

で、樋口さんに戻り、源ディランはなんと近所の工場から流れるバーズの“ミスター・タンブリンマン”だったそう。これとビージーズとジェファーソン・エアプレーンが延々と流れる工場だったとのことだったが、それどんな工場?
で、樋口さんらしく折角持参したバーズのシングルボックスの中に“タンブリンマン”は入っておらず、代わりに直枝さん持参の『ブリング・イット』モービル盤LPから。

“ Mr. Tambourine Man”

 

折角なのでバーズも、ということで

“It’s All Over Now ,Baby Blue”

 

ここいらで’80年代のディランもたまには、ということで『リアル・ライヴ』から。これ、ミック・テイラー参加だったんだよなぁ。
かなりふつうにロックです。

“Highway 61 Revisited”Live

 

で、なんなら折角なので直枝さんが「とうとう手に入れた」という真正『追憶のハイウェイ』LP。なんと知り合いに安くしてもらって8,500円なり。更にebayで内袋を落として(!)完品とするこだわりっぷり。曲は今まで意外にもアルバムからは聴いていなかったこれ。心して聴きました。

“Like A Rolling Stone”

 

この冒頭のスネアの音でアナログの音を確かめるという直枝さんの話に、いつぞやのビーチボーイズの “Wouldn’t Be Nice”の冒頭の「ドンッ!」でオーディオの状態を確認する湯浅さんの話を思い出し、“ばか”はみんな同じことを妙に感嘆。

 

で、次もあまりかけたことのない『アンダー・ザ・レッド・スカイ』から。このアルバムは妙にフェイドアウトが早いのが欠点。ガンズのスラッシュなんかが頑張ってソロ弾き始めたと思ったら終わっちゃう、とのこと。聴いてみるとその通りで笑う。

“Wiggle Wiggle”

 

そして、個人的に今回一番聴きたかったアルバム『タイム・アウト・オブ・マインド』へ。しかも、直枝さんがとくに好きだというこの曲が自分も大好きでちょっと嬉しくなり、『ブートレグシリーズ テル・テイル・サインズ』所収のライヴバージョンが素晴らしい、という所まで同意見で益々嬉しく。(かけたのはアルバムからだが、本日の湯浅さんお手製のお土産CDにこのライヴバージョンが入っていたので『テル・テイル・サインズ』持っていない人はかなり嬉しいのでは。アルバムバージョンとコード進行からして違うのだけどそれでも名曲名演)

“Tryin’ To Get To Heaven”

 

最初にかけた『ワンダー・ボーイズ』のための“Things Have Changed”の盤から、これも聴きたかった曲のライヴバージョン。これを2010年のZepp Tokyoで聴けた時は本当にその場でバンザイしたものです。

“Blind Willie Mctell ” Live

 

そろそろ終わりが近づき、前半で直枝さんの口から出た“河の流れを見つめて”を聴いておこうと。これはアルバムでは『グレーテストヒッツ第2集』の最初の曲だったか。

“Wathing The River FLow”

 

あっという間に終演時間になり、最後に何をかけようか、と。「やはり、終わりらしく」と。まずザ・バンドの。

“I Shall Be Released” The Band

 

この曲をこれだけ良い音で聴いたのは実は初めてかもしれず、陶然としていると曲が終わりしばし押し黙っていた湯浅さんが「そうか」と膝を打ち、「『タイム・アウト・オブ・マインド』でダニエル・ラノワは『ビック・ピンク』がやりたかったのでは?」という仮説というか最早発見を開陳。考えたこともなかったけど、言われてみればあのアルバムのエコーが微妙にかかりつつも普段のラノワよりも“モワモワ”っとしているサウンドビジョンは確か『ビック・ピンク』かもと瞠目。毎回何かしらの発見があるアナログばかでも本日の発見はかなり大きい部類に入るのでは。
最後にディラン本人のバージョンも聴いてお開き。

“I Shall Be Released”

 

12月10日の授賞式も何が起こるのか非常に楽しみながら、それまでに出さなければならないらしい湯浅さんのディラン本(CDジャーナルに寄稿したディラン関連の文章を纏め、更に2000年代のディランというお題で長文書き下ろし予定)も待ち遠しいということで大団円。

 

帰り道、ザ・バンドの“I Shall Be Released”がショーン・ペンの『インディアン・ランナー』のエンディングに使われてたなぁと思い出し、リヴォン・ヘルムもリック・ダンコも、リチャード・マニュエルも死んでしまったけど、こうしてディランが賞を受け取るなんて、なんか彼らの分までってことでいいじゃないか、という妙な感慨に。

 

そういえば、『インディアン・ランナー』はブルース・スプリングスティーンの『ネブラスカ』所収“Highway Patrolman” を元に作ったんあだよなぁということで、そのスプリングスティーンが自身のHPにディランの受賞を受けて載せたエッセイがこれまた素晴らしくて思い出してしまった。
エッセイのラストはこんな感じで締めくくられます。感涙。

 

「ボブがケネディ・センター名誉賞を受賞したとき、彼のために“The Times They Are A-Changin’”を歌う機会があった。俺たちはほんの少しの間、ふたりきりで裏口の吹き抜けの階段を下りていた。彼は俺が来たことに礼を言うと『もし君のために何かできることがあれば……』と言ってくれたのだ。俺は『冗談だろう?』と思い、こう答えた。『もうとっくにしてくれているじゃないか』ってね」