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4/9 5月「爆音映画祭 in 京都2019」
は新旧サスペリアとヘアスタライヴ!
5月「爆音映画祭 in 京都2019」
は新旧サスペリアとヘアスタライヴ!

5/30(木)・5/31(金)
 に今年も日・EUフレンドシップウィークの一環として同志社大学寒梅館ハーディホールにて「爆音映画祭 in 京都2019」開催!今回は『サスペリア』2作品とヘア・スタイリスティックスによる無声映画ライブをお楽しみください!

 

オリジナル『サスペリア』から約40年、
正解のない道筋に迷う

ダリオ・アルジェント版『サスペリア』公開の年1977年を舞台にしたルカ・グァダニーノ版『サスペリア』はなぜその年を時代設定に選んだのか、もちろん劇中にも登場する「ドイツの秋」の事件報道を見ればその意図は誰にも想像はつくはずなのだが、しかしこちらの想像が正しいのかどうかは誰にもわからない。その正解のない道筋こそアルジェント版からの約40年が示すことではなかったかとさえ思えもする。一体その間に何が起こり何が変わり何が変わらなかったのか? いくつもの道筋が示されると同時に切断されその断片がつなぎ合わされる。可能性は不可能性へと反転し、しかしその不可能性こそがいくつもの可能性を指し示すことになる。

アルジェント版の『サスペリア』がひとつの道筋として見せた物語は約40年後にさまざまな形で変奏されると言えばあまりに収まりが良すぎるのは、おそらくピナ・バウシュのブッパタール舞踏団を思わせるダンサーたちの身体の切れ味が良すぎるからだろう。まるで彼女たちの身体そのものが凶器であるかのように見せられるグァダニーノ版では、トム・ヨークの音楽さえもその切れ味についていけないかのような印象を受ける。それならば同じレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが作り上げたリン・ラムジー『ビューティフル・デイ』の細切れにされた音の断片がこの映画には似合っているようにも思えるのだが、しかしどこかぼんやりとした甘さを持つトム・ヨークの音楽はアルジェント版のダンサーたちの柔らかな身体に通じてもいて、そこから、ふたりの監督の視線の違いや40年の年月がゆっくりと浮かび上がってくるように思う。

ゴブリンの鼓膜と脳髄を切り刻むかのような鋭利な音からダンサーたちが削ぎ落として来たものへの確信犯的な眼差しとも言えるトム・ヨークの音が示す40年の正解のない道筋。その中でひたすら道に迷ってみたい。わたしたちにはまだ時間はある。いや、永遠の時をわたしたちは手にしているはずなのだ。

樋口泰人(boid主宰/爆音上映&爆音映画祭プロデューサー)

 

 

 

 

**日・EUフレンドシップウィーク**


《爆音映画祭 in 京都2019》 

5月30日(木)

16:00

『サスペリア』

1977年/イタリア/99分

監督:ダリオ・アルジェント

音楽:ゴブリン

出演:ジェシカ・ハーパー、ステファニア・カッシーニ、ジョーン・ベネット

決して、ひとりでは見ないでください。
アメリカからドイツのバレエ学校に留学してきたスージー。到着早々、彼女の周囲で奇妙な事件が次々と発生する。天井から落ちてくるうじ虫。盲導犬に噛み殺される盲目のピアニスト。学校に隠された秘密とはいったい何なのか・・・。鬼才ダリオ・アルジェントの地位を決定付けたホラー映画の金字塔。宝石のようにきらめく色彩の乱舞と華麗な殺人描写が観るものを圧倒する。今なお色あせることのないホラー映画の傑作中の傑作。

 

18:15

『サスペリア』

2018年/イタリア・アメリカ合作/152分

監督:ルカ・グァダニーニ
音楽:トム・ヨーク
出演:ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレッツ

ダリオ・アルジェントの傑作ホラーを、ルカ・グァダニーノ監督が大胆にアレンジし、オリジナル版とは異なる視点から新たに描いた未曾有の恐怖体験。1977年、ベルリンの世界的舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」に入団するため、アメリカからやってきたスージーは、オーディションでカリスマ振付師マダム・ブランの目に留まり、すぐに大きな役を得る。しかし彼女の周囲では不可解な出来事が続発し、ダンサーたちが次々と謎の失踪を遂げていく…。

 

<料金*当日のみ/各回入替制>
一般1500円、Hardience会員・学生1000円
*同志社大学学生・教職員(同志社内諸学校含む)無料
*各作品上映前に樋口泰人による解説あり
*開場は両日とも各回30分前を予定

http://www.d-live.info/program/movie/index.php?c=program_view&pk=1554340702

 


5月31日(金)

19:00

Hair Stylistics a.k.a 中原昌也 無声映画Live

2012年にも当ホールにて開催し、大きな話題を呼んだヘア・スタイリスティックスの無声映画ライヴ。サイレント映画にヘア・スタの音が重なり、劇伴の背後からあるはずのない映画のサウンドトラックまでもが姿を表す。
今回の上映作品はエドガー・アラン・ポー原作『アッシャー家の末裔』“映画は視覚的な詩”と定義したエプスタンによる映像詩のような本作を、ヘア・スタがどんな風に料理するのか、乞うご期待。
『アッシャー家の末裔』

1928年/フランス/47分

監督:ジャン・エプスタン
出演:シャルル・ラミー、ジャン・ドビュクール

 

<プロフィール>

Hair Stylistics a.k.a 中原昌也

小説、映画評論など文筆活動の傍らで前世紀末より継続されている中原昌也による音楽プロジェクト。テーブル上にぎっしり並べられた夥しい量の機材(発振器、エフェクター、サンプラー、リズムマシン、アナログシンセetc)を同時にあやつる剛胆さと聴衆の前に提示されるその音の複雑さ/繊細さにより、行為としての即興演奏を更新し続けるヘア・スタイリスティックスのありかたは、ノイズ・ミュージックの文脈のみならず多分野からの注目を集め、熱心なリスナーを獲得している。boidからの月刊ヘアスタや自主制作100枚シリーズなど、Hair Stylisticsとしてのリリー ス作品はきわめて多数。3月末に新刊『パートタイム・デスライフ』と『虐殺ソングブックremix』(共に河出書房新社)を上梓したばかり。

 

<料金*当日のみ>

一般2500円、Hardience会員・学生1800円

*同志社大学学生・教職員(同志社内諸学校含む)無料
*各作品上映前に樋口泰人による解説あり
*開場は両日とも各回30分前を予定

http://www.d-live.info/program/movie/index.php?c=program_view&pk=1554342940

 

主催:同志社大学図書館、同志社大学今出川校地学生支援課

共催:boid

機材協力:Bart.lab、T-SPEC

 

 

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