boid paperが復刊し、vol.1「特集:そこから先の湯浅湾」が完成しました!特集には湯浅学さんと保坂和志さんが寄稿、連載エッセーではboidマガジン執筆者の鈴木史さんと井戸沼紀美さんが場を変えてboid paperに登場です。
まずは6月28日(土)の小川町での湯浅学さんイヴェント、7月3日(木) 青山 月見ル君想フでの湯浅湾ライヴにて販売です。boidのwebshopでも販売します。限定部数制作なのでお早めにお買い求めください。
boid paper vol.1 特集:そこから先の湯浅湾
限定部数発行
A5サイズ/本文32ページ/リソグラフ印刷/700円(税込)
<内容>
特集:そこから先の湯浅湾
・湯浅学による湯浅湾史
・湯浅湾のライブは凄い 保坂和志
連載エッセー
・「晴れてる日でも雨の音 1」タクシー 鈴木史
・「ぱたりラップトップ 3」誰かの分まで湯に浸かる 井戸沼紀美
<会場販売>
「大滝詠一と私」
日時:6月28日(土)13:00開場/13:30開演
(*終演は17時過を予定)
会場:コワーキングロビー NESTo(埼玉県比企郡小川町大塚7-4)
料金:2,000円(要予約)
問い合わせ:BYD企画 byd.kikaku@gmail.com
予約フォーム https://forms.gle/s9XfzEdJPRhsxCuA7
「その先の湾 VOL.1」
日時:7月3日(木) 開場 18:30/開演 19:00
場所:青山 月見ル君想フ(東京都港区南青山4-9-1 B1F)
チケット:[全自由]前売券 3,500円/当日券 4,000円(共に1ドリンク別)
チケット予約URL:https://www.moonromantic.com/ticket
<ウェブ販売>
7月4日(金)より boid online shopにて
https://boid.theshop.jp/
今後は3〜4か月に1度の発行を予定しています。
次号はドキュメンタリー『潜行一千里 ILHA FORMOSA』の公開を控えた空族特集です!
boid paper復刊によせて
振り返るともう20年ほど前になるので気が遠くなるばかりなのだが、とにかく20年ほど前、boidのさまざまな企画やイヴェントに合わせて「boid paper」なるものを作っていた。チラシでは語りつくせない、しかしそれらをまとめて売り物にしてしまうとイヴェントの告知には使いづらい。そんな相反する欲望を何とかひとつに収めるためチラシというより「号外」みたいな感覚でそれなりの分量の読み物を無料配布していた。
無料配布なので「boid paper」自体はまったくの赤字で、本体となる企画やイヴェントが成功してくれれば帳尻は合うのだがいつもそううまくいくとは限らない。と言うかboidの企画やイヴェントが儲かるはずはないので常に火の車であった。そんなわけで数号作ったままになってまさか20年が過ぎて再開しようと思うとは考えてもみなかったのだが、時間をかけた単行本でもなくネットの情報でもない身軽でしかしそのときでないと作れない何かを再度やってみようと果たして本当にそう思ったのかどうか、ただの口から出まかせではないかと自分の判断を疑いながらもとにかく動いてしまった体に乗っかる形で新たな「boid paper」を作ってみることにした。
なので深い理由はない。ただ黙っているとなかったことにされてしまうこといなかったことになってしまうことがあまりに多すぎてとりあえずそれらの姿なきものたちの声の数々を実体化させておこうという試みである。この数年、何人もの友人たちが死に、病に倒れ、自分もまた大病をしてギリギリ生き延びてはいる。だが気が付くと世界の風景はすっかり変わり、自分がやってきたこと仲間たちが築いてきたことがもはやそこにはなく世界の彼方へと消えていきそうな勢い。いやそんなことはない十分に受け継がれているではないかと思う方がいるかもしれない。だがおそらくそれは正しいが違う。確かに残るものは残りその中で新しい何かも生まれてはいる。
だが違う。何かが忘れられている。そうやって忘れられるべくして忘れられている。それは若者たちの、あるいは若いがゆえの怠惰ではないのか。根拠はまったくないのだがただひたすらそう思う。なので最後に爪痕だけは残しておく。おそらくそんな年寄りの独りよがり身勝手な振る舞いでしか受け継がれることのない何かがある。そんな思いを込めて「boid paper」を再開する。もはや消えゆくだけとなったものたちの最大限の悲しみとともに。
Neil Young『BEFORE AND AFTER』を聴きながら……樋口泰人(boid/ VOICE OF GHOST)